レオナルドです!
今回も前回の続きで、超有名書籍ジャレド・ダイアモンド(Jared Diamond)氏の世界的ベストセラー「銃・病原菌・鉄」についてです!
前回までの記事がまだの方はぜひ!!!↓
第3部 銃・病原菌・鉄の謎(家畜がくれた死の贈り物)
第11章 家畜がくれた死の贈り物
この章も中々の盛り上がりポイント。
アメリカ先住民は、ヨーロッパ人による征服で激減したが、銃や剣の犠牲より病原菌による犠牲者の方が多かった。
1519年、コルテスは人口数百万のアステカ帝国に600人のスペイン兵で進撃し、「たった」2/3の兵を失いながらも応戦し逃げ延びることができた。
この要因はスペイン側の軍事力が優れていたためである。
ただ、次の攻撃では、1520年に一人の奴隷がもたらした天然痘が猛威をふるったことで勝利を手にした。
アステカ帝国の半数が死亡、1618年には、メキシコの人口は2000万人から160万人に激減していた。
1531年、ピサロが人口数百万のインカ帝国に168人の兵で進撃したときには、1526年頃流行した天然痘で多くのインカ人が犠牲となっていた。
また、この時インカ帝国では、アタワルパとワスカルの兄弟による王位継承をめぐる内紛で分裂状態となっていたこともピサロに味方した。
この内紛も元をたどれば天然痘が原因の一つになっている。
1540年、ヨーロッパから征服者エルナンド・デ・ソトが来たときに、アメリカ先住民は、すでにユーラシア大陸発の病原菌で壊滅状態となっていた。
1600年にフランスからの移民が来た時には、アメリカ先住民の集落は姿を消していた。
コロンブスの新大陸発見以降、200年も経たずして95%もの先住民が姿を消している。
新大陸に元々住んでいた人々は、ユーラシア発の天然痘、麻疹、インフルエンザ、チフスなどに加え、ジフテリア、マラリア、おたふく風邪、百日咳、ペスト、結核、黄熱病などによる犠牲となった。
ここで残る疑問は、
なぜ、アメリカ側が一方的に病原菌の犠牲にならなければならなかったのであろうか?
なぜその逆はなかったのであろうか?
ということである。
・病原菌の原因は動物の家畜化
・北米南米の先住民を多く滅ぼしたのは病原菌
・逆に北米南米大陸でヨーロッパ人を苦しめる病原菌はなかった
・↑の理由は、北米南米大陸では家畜があまりされていないし、家畜化された動物も、ヨーロッパで家畜化された動物より近接して暮らすものではなかったから
・熱帯地方はマラリア、アジアはコレラ、アフリカはマラリアがあったので西欧からの征服が遅い
第12章 文字を作った人と借りた人
人類史上、文字が広がった社会がある一方、広がらなかった社会があるのはなぜだろう?
文字が誕生するには数千年の食糧生産する社会が必要であった。
理由は、文字の読み書きを専門とする役人を養うゆとり・蓄えが必要であったからである。
シュメール、メキシコ南部、中国、エジプトは独自に文字を作り出し、クレタ、イラン、トルコ等はシュメール起源の文字を使用した。
これらの社会は早くから食料生産が開始されていて、そういった社会は複雑で集権化された社会になるため納税を記録したり、国王の布告を知らせるために文字が必要となり文字が定着する。
そして、植物のケースと同様、シュメールの文字は西ヨーロッパからインダスまで、中国の文字は南アジアから日本まで広く伝播したが、メキシコ及びエジプトの文字は地理的障壁により、北米・南米やサハラ以南のアフリカに伝播することはなかった。
結局、文字の伝搬においても地理的要因がユーラシア大陸に有利に働いた。
第13章 発明は必要の母である
一般的に「必要は発明の母である」と言われるが、実際のところそれとは全く逆の現象である「発明は必要の母である」という状況が、数多く起きていた(ワットの蒸気機関やエジソンの蓄音機など)
なんだかんだ必要だから何かを発明するのではなく、発明がいくつもある中からその一握りに必要性が見出され世で有名になるという形が多い。
技術は、条件が同じであれば、人口が多い=発明する可能性のある人びとの数が多く、さらに、競合する社会の数が多く、食料の生産性の高い広大な地域で、より早く発達する。
そして、初期で発明された技術より、発明によって新たな発明品が開発されることが重要である。(技術の自己触媒的発達)
よって、発明の中には移動できないものが多く、移動を伴う狩猟採集より食糧生産している地域の方が高度な発明が生まれやすい。
さらに発明・技術が受け入れられるかどうかは「経済性」「社会的ステータス」「互換性」「メリットの分かりやすさ」の4条件が深く関係していて、地域や社会によって受容性が異なるのは「平均寿命」「労働力の有無」「知的所有権」など多岐にわたる要因がある。
発明・技術の伝播においても東西方向に横長のユーラシア大陸では、同緯度帯で同じ気候帯に位置する社会に、比較的速い速度で伝播し、これが技術発展をさらに加速させた。
南北方向に長い南米アメリカ大陸やアフリカ大陸では、砂漠等が技術伝播の障壁となった。
第14章 平等な社会から集権的な社会へ
人間社会の変遷は「小規模血縁集団⇒部族社会⇒首長社会⇒国家」という4つの段階に分類できる。
人が関係者全員の顔を知っている社会が数百人までで、学校のイメージでこれが部族社会。
人口が増加すればするほど社会的複雑性は増し、集権化していく。
大規模な集団が集権化する理由は大きく4つ、
・人間関係が複雑化し、トラブルの際に仕切る絶対的な存在が必要となる。
・社会的な意思決定を迅速・効率的に行うことが難しくなる。
・再分配を仕切る存在が必要となる。
・人口密度が増すと自給自足が難しくなり、交換経済が必要になる。
そして、集権化が進んだ結果、紛争が適切に解決され、速やかに正しい意思決定ができ、経済も発展するので、他の集団に対して優位になる。
このようにして部族社会は併合を繰り返して首長社会になり、それがまた国家になっていく。
第4部 世界に横たわる謎
第4部の第15〜19章では、オーストラリア大陸とニューギニア、中国、インドネシア周辺、そしてアフリカ大陸における文明の発展解説したパートです。人類の歴史が大陸によって異なる理由を解説し、各国・地域の状況を整理しています。
そして、なぜそれぞれの大陸で異なった歴史を刻んできたのかという結論も、これまで同様理的要因が大きいという結論に繋がっていきますので、ここでは割愛します。
それぞれの大陸の歴史を知ることができるので気になる方は是非本書を手に取ってみてください!!!
第15章 オーストラリアとニューギニアのミステリー
第16章 中国はいかにして中国になったのか
第17章 太平洋に広がっていった人びと
第18章 旧世界と新世界の遭遇
第19章 アフリカはいかにして黒人の世界になったか
第20章 エピローグ 科学としての人類史
#歴史#考古学#人類史#人類学
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